市民のみなさまへ

広報委員長メッセージ

 

日本再生医療学会広報委員会委員長 高橋政代

 

日本再生医療学会の公式ウェブサイトをご覧いただき、ありがとうございます。本会は、幹細胞(様々な細胞に分化する能力を持った細胞)についての基礎研究、生体材料を用いて組織を構築する組織工学(ティッシュエンジニアリング)、医学、さらには規制科学、倫理学、法学、産業界といった幅広い領域からの参加者が、研究のみでなく臨床応用を目指したルールや環境作りまでも行う活動範囲の広い学会です。再生医療という広範な学問分野を網羅する学術団体として世界最大規模と言われており、産学官が目的を一にして密に連携できる稀有な場ともなっております。

 

再生医療自体の歴史はまだ長くはありませんが、現在日本では、患者さん自身の皮膚細胞からシートを作り重症火傷の患者さんの皮膚を再生させたり、太ももの筋肉から採取した細胞を加工して重症心不全の患者さんの心臓に貼り付けることによって機能を回復させる技術など4種類が「治験」を終えて治療法として厚労省から承認を受けております。実際の治療としてこれら再生医療の技術が展開され始めていると言えます。また、iPS細胞(Induced Pluripotent Stem Cells)から、眼の組織のひとつである網膜色素上皮を作成して移植する試みも臨床研究として実施されるなど様々な幹細胞を用いた200以上の「臨床研究」が行われています。

 

他にも「自由診療」として行われている細胞を用いた医療もあります。ただ残念ながら、まだその黎明期にある再生医療においては、自由診療で提供されているものの中には法令を遵守したEvidence based Medicine(科学的根拠に基づいた医療)とは言えない治療が混在している側面も否定できず、2016年には国に無届で高リスクの治療行為を行っていたクリニックに緊急中止命令が出されるようなケースもありました。受診時には科学的妥当性や法令遵守について、担当の医師・歯科医師にご確認をいただくことを学会として強くお勧めしております。本会では、倫理、法令や細胞加工の基本的知識を習得された医師・歯科医師を“再生医療認定医”として認定する制度を設けておりますので、再生医療提供者のある目安としてご活用いただけましたら幸いです。

 

再生医療は極めて大きな可能性を持っていると同時に、新規な技術であるからこその議論の必要性や、黎明期ならではの課題も孕んでいるということができます。本会ではこれらの諸問題について、市民のみなさまとの対話を重ねる活動にもいち早く取り組んでまいりましたが、これからもその重要性は一層増していくことと思われます。市民向けシンポジウムなどに積極的にご参画をいただき、活発な意見交換ができることを願っています。

 

日本再生医療学会は、いち早く「確かな科学に基づいた医療」としての再生医療を治療として国民のみなさまに迅速に届けるよう引き続き全力で邁進してまいります。みなさまの暖かなご支援をくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

2017年3月31日